ハワイ不動産の入門編ともいわれるタイムシェア物件は「ヒルトン・グランド・バケーション®」が有名であります。ハワイ好きの方なら一度は説明会に参加してAMEX商品券を受け取られた方もいるのではないでしょうか? この記事ではタイムシェア業者ではないハワイ不動産取引主任の視点からハワイのタイムシェアをご検討される際に知っていただきたい10のことを客観的に紹介しています。
タイムシェア販売のインセンティブが働いていない立場で客観的にハワイのタイムシェア物件をご紹介しています。
ここで話すタイムシェア開発会社とは主に「ヒルトン・グランド・バケーション®」を指しております。

タイムシェアとは?
ハワイ好きの方には知名度のあるタイムシェア (Time Share)。もともとは高価な大型パソコンやスーパーコンピューターを会社間で共有していた時代に利用時間に応じて使用経費を負担するシステムをリゾートマンションの利用形態に応用した共同所有でした。1960年代にヨーロッパのスキーリゾートで始まり1970年代にアメリカに伝わりますが、当初は開発会社の倒産も目立ち、集めた資金が回収できないなどのトラブルもありましたが、1980年代にマリオット・インターナショナルがタイムシェア事業を始めるとアメリカ内で認知されるようになりました。1990年代に入るとヒルトン・ホテルがフロリダ州を拠点にタイムシェア事業を拡大して、1990年代末頃にハワイにも進出して日本人マーケットの開拓に乗り出しました。
タイムシェアの特徴
一般的なタイムシェアは1週間単位の所有権を購入します。ご購入時には購入金額と別に購入手数料と不動産登記料を支払い、後は毎年、年間管理費、固定資産税、火災保険料、修繕積立金を支払うことで永年利用が可能になります。宿泊料は所有している期間は無料となり、ポイント制のタイムシェアではコーディネーターが宿泊予約のお手伝いをします。 ホテル宿泊や別荘と比較したタイムシェアの特徴は
- キッチン付きで、暮らすような滞在
- 広々としたゴージャスなお部屋
- 何かあった時にも、日本語対応で安心の滞在
- 毎年ハワイに滞在するバケーションライフ
- 初期費用が少ない上に、グレードの高い物件に宿泊できる
- 一流のサービスを受けることが出来る
- 所有物件以外のリゾートでの交換利用が出来る (ポイント制)

ハワイの様々な宿泊方法
ハワイに年数回はご旅行されるリピーターの方が宿泊先を選ぶ上での選択肢となる5種類の方法を比較しました。購入費用や維持費は除いて、宿泊するときの長所と短所に絞り込んで比較すると以下のようになります。
ホテルに滞在する
最もシェアが大きいのがホテル滞在です。パッケージツアーやオンライン予約特典などを利用して毎回のプランにあわせてカスタマイズ出来るのが魅力です。
- 長所:立地がよく眺望も最高。施設内にレストランやショップが充実。メイドサービスで掃除が不要で清潔。
- 短所:お部屋が狭い。キッチン・洗濯機が無い。割高になる。
バケーションレンタルに滞在する
ワイキキではホテルの客室不足がちな事からバケーションレンタルとして1日単位でレンタルできるコンドミニアムです。
- 長所:ホテルと比べると広くてキッチン・洗濯機付き。駐車場付きも。予約時にお部屋を指定できる。
- 短所:建物が古い場合も少ない。メイドサービス等は別料金。日本語サービスは電話応対。
タイムシェアを購入する
- 長所:ホテルと比べると広くてキッチン付き。リゾート感がありグレードも高い印象。ホテル同等のサービス。
- 短所:利用できる期間に制限がある。駐車場が高額。ホテルより立地が悪い。
コンドミニアムを長期賃貸する
お問い合わせをいただくことがありますが、日本のお客様はクレジットスコア(信用スコア)がありませんので与信審査が十分にできませんので長期賃貸できる物件は稀です。
- 長所:荷物が置ける。広い。一日あたりが割安。
- 短所:居住エリアでリゾート感がかける。賃貸契約に更新が必要。
コンドミニアムを購入する
- 長所:内装や家具を選べる。荷物が置ける。チェックインが無い。いつでも予約無しで泊まれる。
- 短所:メイドサービスは手配が必要。管理人は英語対応。

長期滞在のメリット
ハワイのご滞在は長期になればなるほど、楽しみ方も変わってきます。アロハスピリッツをテーマにした様々なコミュニティへの参加で実生活とは違った一面を感じてください。
- 2週目に入った頃から実生活から心が離れてリラックスできる。
- 朝の時間を充実させて、好きなペースで日中を過ごせる。
- ハワイでしかできない、新しい趣味を見つけることができる。
- 滞在中はもちろん、帰国後にも新たな交友関係が生まれる。
- 周囲の理解も生まれて、ハワイからのテレワークが仕事スタイルの一部となる。
タイムシェアの向き不向き
タイムシェアは初期投資を抑えて、ハワイ旅行ではハイグレードで広いお部屋に無料で宿泊するための選択肢として毎年オーナー様は増え続けています。ではどういった方にとって向いているのかというと
タイムシェアが向いている方
- 毎年同じ期間に決まって旅行される方
- 旅行計画が半年以上前から立てられる方
- 国内でもヒルトン系ホテルに宿泊される機会が多い方
毎年同じ期間に決まって旅行される方が元々のタイムシェアの主旨にマッチしているので最も向いています。 このような方の満足度は高くタイムシェアで得しているオーナー様です。 旅行期間が決まっていない方のニーズにあわせたのが「ポイント制」ですが、予約のルールが複雑で予約センターとのコミュニケーションが重要になります。予約開始日の当日は電話を離さずに根気よく希望期間のご予約を取ることが出来る方はポイント制でも満足されているようです。さらにポイント予約が希望通りできないという声から生まれたのがポイントの転用です。国内展開のあるタイムシェアではハワイでは利用できなかったポイントを利用して無料宿泊やアップグレードにご利用いただけるようになってます。
新築マンションと同じでタイムシェアの販売には多額のセールスコストが料金に含まれています。説明会に参加して1万円 や 空港での専用ブース などです。これらのコストが含まれるのでタイムシェアを開発会社から直接買うのは割高になります。その割高分を補うようにリセールとの差別化で「エリートステータスに昇格しない」や「アップグレード制度の対象外」というのがあります。
タイムシェアが向かない方
- お仕事が忙しく直前予約になりがちな方
- 長期滞在をご希望の方
- 日本国内で賃貸経営の経験がある方
繁忙期に直前予約は難しいと言われてますので、半年前から予定が立てられない方は閑散期の4月10月あたりのご利用がオススメです。タイムシェアは共同所有者間の公平性を維持するために、「維持費」「修繕計画」などの将来の見通しが複雑化しています。オーナー様にイニシアチブはなく開発会社の判断で重要事項が決議されていきますので不動産に関して詳しい日本の方は「リゾート会員権」として割り切って考えます。
購入方法は2通り、直販とリセールの違い
タイムシェアの購入方法は2通りあります。開発会社のセミナーに参加して直接契約する直販と、オーナーの諸事情で売り出されたものを仲介会社を利用して購入するリセールです。 リセールとは誰かが開発会社から直販で購入したタイムシェア物件をオーナー様から購入することで権利書上の権利は同じであれば、宿泊するお部屋も全く同じです。リセールが直販より古い物件であるということではありません。リセール物件の価格は直販物件と比べて半額以下と割安になります。
ではなぜ直販は価格が割高なのかというと、仕組みは新築マンションと同じでタイムシェアの販売には多額のセールスコストが価格に含まれます。説明会に参加して1万円分の商品券 や 空港での専用ブース などです。これらのコストが含まれるのでタイムシェアを開発会社から直接買うのは割高になります。
それでも開発会社は直販を利用してもらいたいので、リセールとの差別化で「エリートステータスに昇格」と「アップグレード制度の対象」は直販で購入された物件のみが対象としています。
つまり、価値が半減してもエリートステータスとアップグレードにこだわるなら開発会社からの直販での購入が向いています。しかし、それらにこだわることなく半額で物件購入されたい方はリセールが向いています。 ご購入を検討される際には両方の価格を比較されてからご判断いただくのがおすすめです。

タイムシェアご購入の流れ
ご利用目的やタイプに合ったタイムシェア物件が見つかりましたらお手続きを開始します。タイムシェアリセールの場合にはお申し込みから利用開始まで約6ヶ月必要です。
- お申し込み
- ご成約 ※頭金$1,000のお支払い
- 所有権移転登記の手続き開始
- 新権利書等の書類返送 ※残金のお支払い
- ハワイ州へ新管理書が登記されます
- ヒルトンによる名義書換手続き
- ヒルトン会員番号発行
- ヒルトンHPにログインして、利用開始!

新型コロナパンデミック以降、クレジットカードを利用した詐欺が増えて、$5,000以上の高額利用が難しくなった関係で、残金は海外送金をご利用いただくことが多いそうです。
ハワイのタイムシェア 人気のベスト10
旅行サイトのトリップアドバイザーにてハワイ州の人気タイムシェア施設ベスト10を調べてみたところ、オアフ島が3件、マウイ島が3件、ハワイ島が2件、カウアイ島が2件と各島に人気の施設があることが分かりました。 いままでホテルだと思っていた施設でもタイムシェア物件として所有権の購入が選択肢のひとつにあることも分かりました。古巣のスターウッド系にもあるのは驚きでした。
- カウアイビーチリゾート (カウアイ島)
- カアナパリ ビーチ バケーション リゾート (マウイ島)
- キングズランド by ヒルトンGVC (ハワイ島)
- マリオット カウアイラグーン (カウアイ島)
- イリカイホテル (オアフ島)
- ヒルトンGVC ワイコロアビーチリゾート(ハワイ島)
- ウェスティンマウイリゾート(マウイ島)
- ウェスティン カアナパリ オーシャン リゾートヴィラ(マウイ島)
- ヒルトンGVC ハワイアンビレッジ(オアフ島)
- アウトリガー・リーフ・ワイキキビーチリゾート(オアフ島)
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まとめ
タイムシェアの開発会社とリセール会社の両方に取材させていただいた結果はそれぞれにメリット・デメリットがありお客様の好みや目的によって使い分けることが一番だと言うことがわかりました。ホテル経営にも長く携わった私の見立てではタイムシェアは登記されることにより不動産扱いですが、利用価値はホテル会員権であると感じました。タイムシェアは資産運用とは違い、ホテル代金を先払いして得た権利で広いお部屋を安くで宿泊するテクニックのひとつです。ドル資産の運用先をお探しならお部屋は狭くても所有権付きホテルコンドミニアムをご検討されたほうがご売却を含めて考えるとシンプルかつリスクの小さい不動産投資になります。